「じゃあ、旭の写真だけを展示したら?」

「なんで?」

「私が撮った写真なんて誰も興味ないだろうし」

「なんで決めつけるんだよ。響の写真に足を止めてくれる人もいるよ」

旭はポジティブなことを言ってくれるけれど、それに打ち勝つくらいネガティブな考えしか浮かんでこない。

「……だって、もし本当に誰も見てくれなかったら? なんだよ、下手くそじゃんって(けな)されるくらいなら最初からやらないほうがいいじゃん」

私はぽつりと呟く。すると、そんな暗い気持ちを吹き飛ばすような明るさが飛んできた。

「なんだ、傷つくのが怖かっただけか」

「な、なんだってその言い方……!」

「ああ、ごめん。違う違う。なんか安心したんだよ。だって響っていつも他人なんて関係ないって強がってるだろ。でも本当は傷つきたくないから踏み込まずに自分のことを守ってただけだったんだなってさ」

「私以上に詳しく分析しないでよ」

彼が言ったことは当たっている。

私は期待して裏切られるのが怖い。だから、人は裏切るものっていう前提で物事を見てしまっている。