「え、文化祭?」

昼下がりのファーストフード店。今日も私は旭と街の探索をしながら写真を撮り、今は向かい合わせで昼食を取っていた。

「うん。二学期始まったらあるじゃん? 写真部でなにかできないかなって」

毎年クラスの出し物の他に部活動の(もよお)しも実施される。とくに文化部は力を入れていて、それぞれの特色を活かしたブースなどを開くのが恒例になっていた。


「でも文化祭って十月だしまだ先でしょ?」

「二カ月後なんてあっという間だよ」

「写真部でなにかできるの?」

「うーん。せっかくこうして写真も撮ってるわけだし、展覧会を開くとかどう?」

「写真展ってこと?」

「そうそう」

旭は軽く言ってるけれど、私はなんだか気が進まない。

彼に釣られて私も写真を撮ってきたけれど、それはあくまで自分が見返すためのものであって、飾るためじゃない。

まして文化祭という見知らぬ人がたくさん訪れるイベントで自分の写真を展示するなんて……現実的じゃなかった。