「どうして熱中症に……」
お母さんの顔色も心配で悪くなっていた。妹は今日私以外とは出掛けていない。となると、熱中症になった原因に心当たりがあった。
「……ケーキを買いに行った時、帽子を嫌がってすぐに取っちゃったの」
「被せてくれなかったの?」
「痛いから嫌だって。それで早く買って帰ろうって言ったんだけど、帰りに公園で遊びたいって……」
炎天下の中、滑り台を三回、シーソーを一回、ブランコを押してと言うので十分ほど背中を押してあげた。
「未央はまだ自分で体温調整ができないのよ? どうして気をつけてくれなかったの?」
「気をつけてたよ……」
「気をつけてないからこうなったんでしょう!」
お母さんに怒鳴られて、私はぐっと唇を噛む。
「なんで……なんで私が責められなきゃいけないの? そもそもお母さんが一緒に連れていけって言ったんじゃん!」
気乗りしなかったのに、押し付けるだけ押し付けて私のせいにするなんて納得できない。
「妹の面倒を見るのはお姉ちゃんなんだから当たり前のことでしょう!」
「……当たり前?」
「そうよ。よそのおうちを見なさい。もっと小さい子でも妹の面倒を見てる人がたくさんいるでしょ?」
そんなの知らない。見たことない。
「響はもう十七歳なんだから、もうちょっとしっかりしてよ」
お母さんに余裕がない状態とはいえ、その言葉はナイフみたいに私の心に刺さった。