――『また連絡してもいい?』

寝たのか寝ていないのか、曖昧な朝を迎えた。ぼんやりとしながらスマホを手に取り、着信履歴を確認する。そこにはしっかりと旭と繋がっていた番号が残されていた。

二年振りに聞いた彼の声が頭から離れない。

やっと少しずつ思い出す回数が減っていたというのに、たった十分も満たなかった電話で私の気持ちは逆戻りしてしまった。

どうせ気まぐれに私のことを思い出しただけなんだろう。

またかかってくる保証はないので番号は登録しなかった。

「ねーね! 公園に行こう!」

未央は起きたそばからうるさくて、私の支度をことごとく邪魔してくる。 

「髪の毛やるからあっちに行って」

「じゃあ、みーたんの髪の毛もやって」

「今日は預かり保育がないんだからどこにも行かないでしょ」

「やってやってやって!」

「ああ、もううるさいな……!」

まだ小さいから仕方ないと思っていても、つい二歳児相手にムキになってしまう。

お母さんが朝食の用意をしてくれたけれど、結局未央が騒がしくするので、パンを無理やり口に押し込んで早めに家を出た。