なんとなく気まずい空気になったが、二人きりになったことで嬉しいやら安心したやらで、お互い目を見合わせてクスクス笑った。
そんな些細なやり取りさえも、愛しいと思えた。
平行線だと思っていたお互いの気持ちは、ほんの少し軌道を変えただけできつく絡み合っていく。
「とりあえず連絡先を交換しましょうか。」
「そうですね、では。」
杏奈が携帯を取り出そうとカバンを開けると、
「あ。」
広人に借りっぱなしのハンカチが目に入った。杏奈はそれを丁寧に取り出す。
「これ、ありがとうございました。なかなか返す機会がなくて遅くなってしまって。」
目の前に差し出されたハンカチを、広人はキョトンとした目で見る。
「ずっと持ち歩いていたんですか?」
「ええ、まあ。あ、ずっと入れっぱなしだったから汚れちゃったかな?どうしよう、もう一度洗濯を…。」
慌ててハンカチに汚れがないかを確認しようと裏表を見ていると、広人は目を細めて優しく笑う。
「いえ、そういう意味ではなくて。やっぱり杏奈さんは素敵な人だなと。」
「は?え?」
言いつつ頬を赤く染める広人に杏奈は訳がわからず首を傾げたが、広人は微笑むばかりだ。
そんな些細なやり取りさえも、愛しいと思えた。
平行線だと思っていたお互いの気持ちは、ほんの少し軌道を変えただけできつく絡み合っていく。
「とりあえず連絡先を交換しましょうか。」
「そうですね、では。」
杏奈が携帯を取り出そうとカバンを開けると、
「あ。」
広人に借りっぱなしのハンカチが目に入った。杏奈はそれを丁寧に取り出す。
「これ、ありがとうございました。なかなか返す機会がなくて遅くなってしまって。」
目の前に差し出されたハンカチを、広人はキョトンとした目で見る。
「ずっと持ち歩いていたんですか?」
「ええ、まあ。あ、ずっと入れっぱなしだったから汚れちゃったかな?どうしよう、もう一度洗濯を…。」
慌ててハンカチに汚れがないかを確認しようと裏表を見ていると、広人は目を細めて優しく笑う。
「いえ、そういう意味ではなくて。やっぱり杏奈さんは素敵な人だなと。」
「は?え?」
言いつつ頬を赤く染める広人に杏奈は訳がわからず首を傾げたが、広人は微笑むばかりだ。