「さ、帰りましょう。立てますか?」

広人が杏奈の手を取るも、杏奈は全然立ち上がれる気がしなかった。
酔って気持ち悪くて動きたくないのと、先程広人に励まされた言葉が頭の中をぐるぐるして、どうにかなってしまいそうだ。

「…おんぶでいいですか?」

広人は杏奈の両腕を自分の首に回すと、器用にもひょいと杏奈をおぶる。

「家までの道、案内してくださいね。」

杏奈は無言で頷くと、広人の背中に体をピタリと寄せた。
広人の背中は思ったより大きくてあったかくて、男の人なんだと改めて実感し思わずドキドキしてしまう。
密着することで自分の心臓の音が伝わってしまうのではないかという考えがわき上がってきて、それを思うと更にドキドキが増してしまった。

「…広人さん迷惑かけてごめんなさい。私ホントにダメだなぁ。」

小さく呟いた声は広人に届いたのかどうなのか、広人は何も答えずに杏奈を背負ってゆっくりと歩いていった。