言葉の意味をようやく理解するまで頭が回復すると、今度は突然の羞恥が襲ってくる。
「なっ、そんなの、情けないだけだし!」
「どうしてですか?」
「だって仕事だって上手くいってないし、ぜんぜんダメなんです。私なんて全然ダメ。。。はぁー。」
忘れていたわけではないが、仕事にも行き詰まっていることを思い出し、杏奈は更に肩を落とした。
広人がいくら褒めてくれたって、自分の中では仕事も恋愛もまったく上手くいっていないのだ。
自然と深いため息が出てしまう。
「仕事やめたいんですか?」
広人の問いに、躊躇いもなく首を横に振る。
仕事が上手くいかなくて悩んでいるけれど、それが“辞める”ことに直結するかといわれるとそうではない。
簡単に“辞める”ことは杏奈にはできない。
「私、諦めが悪いんです。何もしないであきらめるのが嫌なんです。何とかしてこの状況を打破できないかなって足掻いてる。…辞めちゃうのが一番楽だと思うけど…たぶんプライドが邪魔をしてるんだと…。」
今までだって困難なことがあってもちゃんと自分の力で切り開いてきた。
それくらいの努力と根性は持ち合わせているつもりだ。
だから今も、出口が見えなくても打開策が何ら見出だせなくても、仕事を辞めることはしていない。
「杏奈さんは頑張りやさんですね。頑張りやさんだから悩んでいるんでしょう?」
広人の優しい声に、杏奈は居たたまれなくて下を向いた。
頑張りやさんだなんて褒められるほど、何かを頑張っているわけではない。
ただ刻々と毎日が過ぎているだけなのだ。
「いつも上手くいくなんてあり得るでしょうか?完璧な人なんていませんからね。人生山あり谷ありですよ。良いこともあれば悪いこともある。例えばそうですね、僕は先日杏奈さんから断られてとてもショックでした。これは僕にとって悪いことです。でも偶然にも今日杏奈さんに会えた。これは良いことです。僕はまた杏奈さんに会いたいと思っていたから。」
未だ顔を上げられずにいる杏奈に、広人のふわりとした優しい声が包み込む。
「ね、山あり谷ありでしょう?仕事も、気負わず肩の力を抜いてやってみたら、案外上手くいくかもしれませんよ。僕も杏奈さんを見習わないといけませんね。」
何となくクスリと笑う気配を感じて、杏奈の心は締め付けられた。
そんな風に励まされたことは初めてだった。
「なっ、そんなの、情けないだけだし!」
「どうしてですか?」
「だって仕事だって上手くいってないし、ぜんぜんダメなんです。私なんて全然ダメ。。。はぁー。」
忘れていたわけではないが、仕事にも行き詰まっていることを思い出し、杏奈は更に肩を落とした。
広人がいくら褒めてくれたって、自分の中では仕事も恋愛もまったく上手くいっていないのだ。
自然と深いため息が出てしまう。
「仕事やめたいんですか?」
広人の問いに、躊躇いもなく首を横に振る。
仕事が上手くいかなくて悩んでいるけれど、それが“辞める”ことに直結するかといわれるとそうではない。
簡単に“辞める”ことは杏奈にはできない。
「私、諦めが悪いんです。何もしないであきらめるのが嫌なんです。何とかしてこの状況を打破できないかなって足掻いてる。…辞めちゃうのが一番楽だと思うけど…たぶんプライドが邪魔をしてるんだと…。」
今までだって困難なことがあってもちゃんと自分の力で切り開いてきた。
それくらいの努力と根性は持ち合わせているつもりだ。
だから今も、出口が見えなくても打開策が何ら見出だせなくても、仕事を辞めることはしていない。
「杏奈さんは頑張りやさんですね。頑張りやさんだから悩んでいるんでしょう?」
広人の優しい声に、杏奈は居たたまれなくて下を向いた。
頑張りやさんだなんて褒められるほど、何かを頑張っているわけではない。
ただ刻々と毎日が過ぎているだけなのだ。
「いつも上手くいくなんてあり得るでしょうか?完璧な人なんていませんからね。人生山あり谷ありですよ。良いこともあれば悪いこともある。例えばそうですね、僕は先日杏奈さんから断られてとてもショックでした。これは僕にとって悪いことです。でも偶然にも今日杏奈さんに会えた。これは良いことです。僕はまた杏奈さんに会いたいと思っていたから。」
未だ顔を上げられずにいる杏奈に、広人のふわりとした優しい声が包み込む。
「ね、山あり谷ありでしょう?仕事も、気負わず肩の力を抜いてやってみたら、案外上手くいくかもしれませんよ。僕も杏奈さんを見習わないといけませんね。」
何となくクスリと笑う気配を感じて、杏奈の心は締め付けられた。
そんな風に励まされたことは初めてだった。