あれから彫る作業をときどき見せてもらったのだけど、ほとんどハナがいないうちに彫り進められていて、終いのほうには「気が散る」と言われ、見せてもらえなくなった。 だから、どんな風に仕上がっているのか想像がつかなかった。
ワクワクしながら階段を昇っていくと、カイリと鉢合った。階段に並んで座る。
満天の星というなんとも抽象的なオーダーをしたものだと思ったのだけど「はいよ」とぶっきらぼうに手渡されたものには、沢山の星と霞のように見える細かい星が彫られていた。二つ並べると、天の川が流れている。
うわぁと息を飲んだ。
「すごいね。ありがとう」
「うん」
心の底から感激しているのが伝わってくると、カイリはまた胸の中に熱いものを感じ、同時に照れくさくなった。
「これ天の川?」
「ああ」
「履くの勿体ないな」
「いや、履けよ」