「東京にいるのよ」
「そうなんだ」
自分と一緒なんだと思った。
「ハナちゃんと同じでね、うちも離婚してるのよ」
「あー……」
歯切れ悪く相槌を打つと、ふふふと笑う。
「距離があるし、忙しいひとだから息子たちにあまり会えていないけどね。よく連絡くれるし、今も仲はいいのよ。ミナトが小さいから自分の顔忘れられるんじゃないかって不安がってて。面白いわよね」と明るく言うので、急に無責任に感じて腹が立った。
「それなら、なんで別れちゃったんですか?」
気づけば責めるように聞いていた。
言ってから、ハッとしたのだけど、もう遅かった。
だけどアサミは「うーん。なんだろうね。ちょっとうちは家族として少し特殊なところがあったから、限界がきたのかな。その形を保とうとすることが、不自然だったのよね、きっと。
だから、今こうして離れているのが、私はいちばんいいかな」とさっぱりしていた。
アサミはそう言ったけど、親と子供の感覚は違うものだよなとハナは改めて思う。
かと言って、みんなお父さんのことを話したりはしないから、どう感じているのかも知らないのだけど。
自分は結局、彼らを通して、自分の家族を見ているのだと気づかされる。離婚したことを本当は怒ってもいたのだと自覚して少し胸が痛んだ。