「ヨウイチさん、本当、おかしいよね~」
「うん。本当にごめんね。お父さんと私、いつもお世話になりっぱなしだよ」
「なに言ってるの。いいんだよ。二人がいると明るくなるから。本当にね、夕食の時間が前より賑やかで嬉しいんだからさ。頼って、頼って」 と優しく笑う。

アサミは月島の産まれなのだけど、大学から東京に住んでいたせいか、話し方が標準語に近い。かと思えば、おじぃと話すときは方言が出るので、二ヶ国語を話してるみたいだなとハナはいつも感心していた。

「そういえば、アサミさんなの? 民宿で売ってる貝のマグネットとか、私の部屋にある風鈴作ってるのって」
「うん。そうだよ」
「あの風鈴、可愛いよね。この前、可愛い貝殻もらったから、勝手に繋げちゃったけど大丈夫だった?」
「気に入ってくれてよかった。好きにしていいよ、全然」

そこで、アサミのスマホが光る。パパと表示されていた。目視して、運転中ということもあり電話には出なかった。
ハナは、前から疑問に感じていたことがあった。

「あの……ナギサくん達のお父さんってこっちに住んでないの?」
誰も父親の話をしないのでなんとなく触れなかったのだけど、連絡があるということは聞いても大丈夫な気がして訊ねた。