「うん、可愛い」
ハナは窓に飾られていた風鈴に、先日貝殻を忘れた男の子からお礼にともらったシーグラスと貝殻を繋げた。
あの日、忘れ物の袋を手渡したらすごく安心した様に笑った。
少し話をした翌日、港まで見送りに行った。初めて民宿に来たひとを桟橋から見送ったのだけど、船が遠く離れて見えなくなる様はもう会えないような気がして、少し切ない気持ちになった。
だけど、きっと元気にやってるのだろう。
おじぃから話を聞くと、民宿に来たお客さんから便りが届いたり、ブログやSNSでメッセージのやりとりをしていたりすることもあるそうだ。
あの男の子とも、また会えたらいいな。
今は、そう感じていた。
暦は8月に変わり数日が過ぎた。
ハナは先生の家に遊びに行ったりハルカ達と泳ぎに行ったり、ときどきナギサに夏休みの宿題を教えてもらったり、のんびりと過ごしていた。
その日は、ヨウイチのダイビングショップまで、自転車で出かけた。
夕方には仕事が終わると言っていたので、その時間に合わせていくと、ヨウイチがウェットスーツを洗っていた。