日が傾くと、暗くなるまであっという間だった。 
小道を通るときも、木のトンネルを歩いてもガサガサと藪や木を揺らす音がした。
心細さがあるせいか、恐さが増す。
(なにがいるの?)
幽霊なんて見たことはないのだけど、真っ暗闇にいるせいか想像が膨らむ。
とにかく早く帰らなければ。足早に向かっていくけど、まだトンネルは抜けられない。
突然、目の前に大きな影が見えた。

「きゃああ!」
叫びながら、身をすくめる。思わず目をつむった。
「うるせーよ」
恐る恐る目を開けると、カイリが目の前にいた。
「びっくりした」
「それはこっちの台詞だよ」
「ごめん」
「飯に来ないから、探してたんだよ」
「そっか。ごめんね。さっき、民宿のお客さんが、海に忘れ物したって言うから探しに来てたんだ。無事見つけたよ」
得意気に言うと、ワサワサとまた茂みが揺れた。