「なんでお前がくいつくんだよ」
「ごめん。カイリに彼女って意外だったから。この島の子?」
「違う」
「東京にいたときだよ」とハルカが言った。
三年前に島に来たと言っていたから、逆算してまた驚いた。
「え? ていうことは小学生のとき?」
「もうその話はすんな。付き合ったって言っても少しだし。付き合ったとも言っていいかわかんないくらい」
「その言い方、相手に失礼」
付き合ったということは、お互い好きだったんだろうなと思うと、彼女がかわいそうに感じた。
ハルカが
「そんなことより、ハナちゃんはソウメイ先生のこと頑張ってね」
その言葉でようやくカイリは、ハナがソウメイのことを好きなのだと察した。
間髪入れず、「無理だろ」
「だから、先生のことはそういう好きじゃないの。勝手に失恋させないで。わかってるよ、そのくらい~」
「俺は応援してるからね、ハナちゃん」
「ハルカくんは楽しんでるだけじゃん」
「そんなことないよ! だから、カイリも応援してあげてね。まずは連絡先からだよ」
「だから違うって言ってるのに~」
そのやりとりをナギサはニコニコと見守る。
カイリはさして興味もなく、ソウメイから返事が来ると「先生、来て大丈夫だって」とハナに伝えた。