ドキドキした瞬間を思い出すと、先生と初めて会ったときのことを思い出してしまう。
綺麗なひとだなって、子供ながらに感じた。
この島に来てからも、ナギサやハルカに女の子みたいな扱いをされたときは、ドキドキもしたけど、それとはまた違った感じがする。
(私にも好きなひと、出来たりするのかな)
そう考えると、まだよくわからないと思った。
カイリが「先生からだ」とスマホを見て言うので、そばを食べていた手が止まる。
「カイリ、先生の連絡先、知ってるの?」
「うん」
しれっと答えるので、「いいな」と無意識で呟いてた。
ハナがソウメイの連絡先を知りたそうに見えたので「先生の教えていいか聞く?」と訊ねるけど、「ううん。今日、教えてもらいに行く。お願い。先生に、今から少しだけ遊びに行っていいか聞いてもらってもいい?」
「いいけど。なんでそんな回りくどいことすんの」
この場で聞いたほうが早いとカイリは思ったのだけど、ハルカがニヤニヤ笑って「カイリは女心わかってないよね。そんなんだから、すぐ彼女に振られるんだよーだ」
「振られてないし」
「カイリ、彼女いたの?」とハナが驚いて訊ねた。