座ってメニューを眺めると、知らないものが多かったので、教えてもらいながら八重山(ヤエヤマ)そばを注文する。

「全然、麺が違う。細いうどん? ラーメン?」
内地でいうそばとは全く違かったので、驚いた。かつおと豚のあっさりしてるけどコクのあるスープが美味しい。

「うん。美味しい」と頷くと「島こしょう、島とうがらしかけると味がまた変わるぞ」とカイリがすすめるので、島とうがらしを入れてみた。
「あ、いれすぎ」とハルカが止める。
「え、嘘。いれすぎた?」
案の定、すすってみると「うっ」と、少しむせた。
「カイリ」
「はめたねって顔してるけど、かけすぎたのハナだから」
「そうなんだけど。こんなに辛いなら最初に言ってくれたら」
「とうがらしって書いてたら、気づくだろ」
「島とうがらしって書いてたから、もっと優しいものだと思ったの」
「なんで島がついたら優しいんだよ」と不毛なやりとりを広げていると、お水をつぎにきたおばさんが、ハナを見て
「この子、知念のおじぃが言ってた子?」
「そうだよ。ハナちゃん。よろしくね」とハルカが元気よく言う。

アギジャビヨーと驚いて、
「ヨウイチにーにーの娘ね。ちゅらかーぎー(美人)だね。ヨウイチにーにーに似てないさ」
「うん。ヨウイチさん、熊みたいだもんね。俺も思ってたとこ」
「なんでかね~」と笑った。
どちらかというと母親似だとハナは思っている。大雑把な性格はヨウイチに似ているとも。