閉められていた襖を開ける。居間のほうを見ると、カイリが茶菓子を頬張っていた。
「あ、いた」
ハナを見て呟く。探してたというわけではないけど、気にはしていたらしい。
「ハナも食べるかい? 那覇のお土産だよ」とソウメイがほかほかした笑顔で訊ねる。
先ほどのことにはなにも触れてこなかったのだけど、もう充分だった。
うんと小さく頷いて、腰かけた。
「俺も食べるー!」と庭先から声がして見ると、ミナトがいた。
「連れてきていいって言うから」と、察したようにカイリが言う。ミナトが島ぞうりを脱ぎ捨て縁側から上がると、ハナの隣にちょこんと座った。ふふと可愛すぎて笑みが零れた。
そうか。こんなことなのか。自分の心が曇ると、目や頭で判断して何もわからなくなってしまうのだと身をもって悟って、あたたかさを感じる今、すごく泣きたくなった。
体でわかることが、本当の喜びだ。
悲しみや憤りではなく、喜びからくる涙を感じるのはいつぶりなんだろう。
それもどうでもよくなる。
ただ嬉しくて、嬉しくて溢れ出していく。
「ハナ、どうしたば?」とミナトが不思議そうに見上げた。