いつの間にか自分や周りを優しい目で見れなくなっていた。
そんな自分を嫌いな自分が大嫌いだったんだと気づいた。
幼い頃の私に戻りたかったのではなく、自分や周りのことを優しく見守っていられる自分でいたかっただけなんだ。
一人になって、壁に背中をもたれた。
視界に入るソウメイの作品に、優しく見守られているような気にもなった。
そうしているとまた我慢していた涙がただただ溢れてきて、悔しさや惨めさを呟いていくと、段々、自分の言葉ではないような気になっていった。
幼い頃にソウメイに言われた言葉をふと思い出した。
友達と妖精がいるかいないかと喧嘩をした日、言ってくれた。
『この世界は一つに見えて、一つじゃないんだよ。幾重にも重なっていると思えばいい。例えば妖精がいる世界と妖精がいない世界がある。どちらが正しい正しくないではなくて、ただ世界が違うだけなんだ。妖精のいない世界には、妖精がいないが正しいんだから、比べる必要もないんだよ』
ならば、愛そのものの私とそうでない私がいる世界があるだけなのかもしれない。
愛を感じている自分にただ戻っていけばいい。
それが本来のあるべき私の世界なんだな。
そう気づくと、少し身体が軽くなっていた。