にこりと優しく微笑むと静かな声で
「ハナ。水の話をしようか」
「水?」
「うん。濁った水が澄んだ水になれるのはなんでだと思う?」
「水と濁っているものが別のもので、取り除けるから?」

「そうだね。そもそも水が本来、澄んでいるものとわかっているから濁りがわかるね」
ハナはうんと頷いた。
「だから不純物を離すことができる。そして純水になるんだね。
ひとも水と同じなんだよ。ひとの心は本来澄んでいて、不純なものを取り除いていけば、純粋になるんだよ。
時間をかければかける程、美しいひとに戻っていくだけ。頑張りも何かになろうとすることも必要ない。ただ愛そのもであって、それが本来のひとの在り方なんだよ。
一見、いいことだとされていることでも、裏側に何かあれば、全て不純なのだから、それを君が見つけて捨てていけばいいだけなんだよ。
今、口にしたくないと言ってる部分もそうだね。ハナのものではないんだ。
だけど心は本来の君のものなのだから、不純なものの為にあるわけではないということをそのうち、思い出すといい。
僕の言っていることは、今、わかるかな?」