「僕の言葉が呪いに変わってしまったのは、残念に思うよ」
「呪い？」
「ハナに素敵なひとになれと言ったつもりはなかったのだけど、そう感じさせてしまったんだね。気負うほどに」
「違う。私が勝手に、先生と次会ったときに、素敵なひとになっていたいって思っただけ。だって、私、先生のこと」

好きだからと言いそうになって、口をつぐんで、自分でも驚いた。
ずっと感じていた感情だったというのに、その言葉がどうしてか今、言えなかった。

ソウメイはうんと頷いた。なにも言わなくていいと言うように。
「我慢してきたものを吐き出すといいよ。口にしてはいけない言葉なんてないのだから。それを抑えつけているものに惑わされてはいけないよ」
「でも、先生、私……こんな自分が本当に嫌なんだ。感のいいひとが羨ましかったり、認めてもらえないって妬んだり……そんなの自分じゃないって思うんだけど、やめられなくて。そんな感情、口にしたくないよ」