庭先にソウメイがいる。麻の作務衣を着て涼し気な装いだった。ハナに気づくと「ああ。来る気がしてたよ」と柔らかく言った。
玄関がないので、縁側から入ると、居間に通された。
あまり物がなく素朴だったけど、棚や一枚板のテーブルは手入れが行き届いていて、ひとつひとつを大切に扱っているような感じがした。
「カイリは遅れてくるって言ってたよ」
「そうみたいだね。弟さんの面倒見なきゃいけなくなったって言ってたから連れておいでとは、言ってみたけれど」
ハナの前にミンサー織りのコースターとグラスを置いた。
一口飲み込むと「美味しい。ジャスミンティーだ」
「そうだね。こっちだとさんぴん茶って言うかな」
「へえ、名前が違うんだ」
ふと棚に目をやると、白い島ぞうりが飾られていた。
梅の花とひばりのような鳥が彫られていて、和の雰囲気が凛として素敵だった。
「これ、カイリが彫ったの?」
「うん」
「すごいね。花も鳥も生きてるみたい」
無邪気だったので、ソウメイは微笑んだ。
「それにしても、カイリと先生がお友達って意外だな」
ふふと笑う。
「そうかな。意外に気が合うと思ってるんだけどね」とハナの前に腰かけた。