朝の得意気なミナトの顔を思い出した。確かに誰も来なそうだし、秘密基地にはうってつけかもしれない。
「確かに誰にも見つからなそうだね」
「こっちに観光客はあまり来ないからな。俺、ここで先生と友達になった」
「……と、友達?」
ハナの中でソウメイは先生だったので、同年代の子が友達というのに驚いた。
「なんだよ。おかしいか。先生に友達って言われたし、友達だろ」
「そんなに仲がいいんだ」
「仲いいっていうのも、よくわかんないけど」
「すごいなぁ。ねえ、秘密基地ってどんな感じなの?」
ハナが言うので、自転車を停めて、下りることにした。
先生と出会った秘密基地というものに興味を持った。
藪をかきわけて本当に細い小道を下ると、砂浜に着いた。今日回ったビーチの中で一番狭くて、満潮だとなくなるとカイリが教えてくれた。
とても静かだった。風も波も空気も声も呼吸も。目や耳に届くもの全てに静けさを感じた。
「凪だ」と、ハナは呟いた。