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食堂に行くと、ミナトが遊びに来ていた。
「あれ? ミナトひとりなの?」
「そうば」
どうやら珍しいことではないようで、民宿で調理をしている島人の新垣やえも「ミナト、おはようさんね」と声をかけた。
「おばぁ、おはよう」
お客さんが数人、朝食をとっていたので、「自分のは、自分でやるね」とヤエに伝えると「じょーとーさぁ(素晴らしいね)」と言われた。食器はここから取って、おかずは大体ここの辺に入ってるから、まあ適当に取れといった感じで指示を出す。
ヤエは、親しみやすいおばあちゃんと言った雰囲気だったので、ハナも気兼ねない。
他に内地から来た若者一人が、住み込みでヘルパーをしているそうだ。
旅費も負担しているので、こうして旅行を兼ねて働きに来てくれる。
大体は数ヶ月で帰ってしまうのだけど。
カウンターに腰かけるとミナトが「今日、ナギサ達と遊ぶば? 俺の秘密基地、特別に教えてやってもいいど!」と、ハナと遊びたそうにする。