「というか、お父さんは、ハナが可愛いだけでもう充分だよ」
「うん。知ってる」
「聞き流したな」
「そんなことないよ」
「年頃の娘は~」
「はいはい。反抗期だったら、こんなところでお父さんと話しません」
「確かに。俺って、本当に幸せ者だな」
ハナは身体を起こすと
「お父さんも再婚するの?」
「え? まさか、相手がいないのに、どうやって? ハナ、いいひと紹介してくれるのか? なら、話が早い。早速会おう」
「どうしてそうなるの」と、笑った。
「まあ結婚は縁だからな。でも何が起きるかわからないし、10歳くらい年下の若い子と結婚なんてあるかもしれないな」と真顔で言うので、
「はいはい。どうぞ、ご自由に。再婚はセルフサービスです」
「その顔はないって言ってるな。人生、わからないぞ。石原さとみみたいな美人が急にこの島にやってきて……」
「さーて、帰ろうっかな」
勢いよく立ち上がると、ヨウイチが「ハナ、冷たいな」と嘆いた。