「ソウメイ先生に、ハナがまた習字教えてほしいって言ってたことは伝えておいたよ」
その言葉にドキリとすると、心臓の音が速くなった。

「なにか言ってた?」
「うーん。実は、今はひとに教える気はないって言われたんだ」
「……そっかぁ」
「ごめんな。本当は先生に教えてもらう為にここに来たのに、黙ってて。少し頼んでもみたんだけど、気持ちは変わらないみたいでな。だけど、なんかわからないけど、ハナはこの島に来たほうがいいと思ったから、言わなかったんだ。実際、ハナに会ったら気が変わるかもしれないしな」
「それは」
ないと言おうとして飲み込んだ。

「まあ、ハナ。あれだ。習字でなくても、この島でもやれることは沢山あるから。ハルカ、ダンスうまいから、一緒に踊るのもいいな。あいつすごいんだぞ。頭でぐるぐる回ってたからな。ナギサも賢いからな。花とか魚とかが好きらしいから、一緒に見て回るのもいいな。あと、勉強見てもらえるな。カイリは器用だから、一緒に何か造るのも楽しいかもな。今度、あいつの島ぞうり見せてもらえ。けっこう芸術だぞ。ミナトは……可愛いよなぁ」

ミナトのくだりが、想像の斜め上だったので笑った。
話を聞いているだけで、ヨウイチが知念のおじぃの家族と本当に仲がよく、家族みたいに接しているのが伝わってくる。
よその子とか関係ない。
ハナは、そんなおおらかさが好きだった。