「これ、お母さんに汚いって怒られるやつ」
「確かに、お母さんに怒られるな。服汚すなって」
「お父さん、白Tだし、確実に言われるね」
二人でクスクス笑う。
眺めていると、かかっていた雲が流れ、沢山の星が見えた。

「うわぁ」
ここに来てから、何度歓喜の声をあげたのだろう。
感動というものは、まだまだ沢山あるような気がした。自分で線を引いて、感じていないだけで。
「ここは気に入ったか?」
ヨウイチが訊ねるので、「うん、すごく。島もひとも優しい感じがする。お父さんがここに住みたいのわかる気がした」と頷いた。

「なら、よかった」
「知念のおじぃにもう一度お礼言わなきゃ。お父さんが本当に毎日、お世話になってますって」
「ご飯のこと気にしてるのか。大丈夫。その為に、民宿たまには手伝ってるし」
「だからかぁ。せこーい」と笑った。また空に雲がかかる。
「今日は、雲が多いなぁ。なぁ、ハナ」
「うん?」