「ほぼ家族」とカイリがぼそりと呟いた。
「確かにね」と、ナギサが笑った。
「そしたら、俺、ナギサのお兄ちゃんってポジションでいいかな?」
ヨウイチが調子にのるので「無理でしょ」とカイリがバッサリ言い切った。

アサミが
「だから、ハナちゃんも一緒に食べない? 一人も二人も変わらないし。あと、向こうの民宿、シャワーしかないから、ついでにお風呂も使っていいし。ほら、こっちって暑いからお風呂に浸かる風習がないのよ。内地の子ってお風呂入るでしょ?」
「内地の子?」
「あ、本土の子ってこと。島の人はそう呼ぶの。内地の人はナイチャー、島に住む内地から来た人は島ナイチャー」
「そうそう。俺とかハナは島ナイチャーだな」とヨウイチが胸を張る。
「へええ。ハルカくんとかは?」
「なんだろ? ハーフ? 島とナイチャーの。途中から島に住んでるし?」と答えるので、笑った。そういえばこの家に今、父親の姿はないのだけど、内地の人のようだ。

「うちは湯ぶねがあるから、ゆっくりつかれるよ」
アサミが言う。
「湯ぶね……確かに入りたい!」
今までの環境からすると、シャワーだけの生活が考えられなかった。
「じゃあ、決まり。食べたくない日とか、来なくて大丈夫だし。事前に教えてくれたらいいから」と、アサミと番号を交換した。

その後も、みんなと会話をしながら、楽しく食事をした。

三人家族だし、ヨウイチが家を出てからは、食事は一人のときもあれば、お母さんと二人きりだった。こんな大所帯での食事は本当に久しぶりだった。