それから、すぐにヨウイチが駆けつけた。
「ヨウイチにーにー、お帰り」
すっかり機嫌を直したミナトが出迎える。
にーにーとはお兄ちゃんなのだけど、そう呼んでもらっているようだ。
「おう。ミナトー」と抱きつくと、ぐるぐる回しだす。どうやらとても仲がいいようだ。 ハナは私に弟ができたら、こんな感じなんだなと思うと微笑ましくなる。 
それから、胸がチクリと痛んだ。

「ご飯、できたよ」
アサミが声をかけ、みんなでダイニングテーブルを囲む。
ぐるくんの唐揚げやゴーヤチャンプルーといった沖縄料理が並ぶ。
「今日は来たばかりだから、沖縄料理にしてみました。食べれないのあるかな? 沢山あるから、どんどん食べてね」とアサミが言う。

苦いのかと思っていたゴーヤもそうでもなく、食べやすかった。 食べなれない魚もクセがなくあっさりとして、おいしい。
「おいしいです」
「よかった。ねえ、ハナちゃん。よかったら夕食だけうちで食べない?」
「こっちの家でですか?」
「そうしたらいいよ。ヨウイチさんなんて、呼んでもないのに、毎日来てるからさ」とハルカが言う。
「お父さん、毎日来てるの? お世話になりすぎ!」
「ははは」とヨウイチは笑う。さすがだなと思った。世渡り上手というか、どこでも生きていけるような柔軟さがあり、いやらしさがない。