「びっくりした。二階にいるから」
「ミナトが、家の中、案内してくれてて」
その声に気づいて、ハルカも顔を出す。
「ハナちゃん、いらっしゃい!」
ミナトはハナの手を引き
「ハナはどこの部屋にするば? 俺の部屋で寝てもいいど!」
「え?」とハナが飲み込めずにいると、「ごめん、ハナちゃん」と、ナギサが困ったように苦笑いをした。
「ミナト、勘違いしてるんだよ。ハナちゃんが家に住んで、ミナトのお姉ちゃんになってくれると思ってるみたい」
「そうだったんだ」
そういう意味のねーねーだったんだ。

ナギサはしゃがむとミナトに「あのね、ハナちゃんは、隣の家に住むんだよ。ここには住まないし、ミナトのお姉ちゃんにはならないんだよ。だから、たまに遊んでもらってね」
「えっ、でも、おじぃが」と言った口をハルカが慌てて塞いだ。
「おじぃはただの嘘つきだからさ」
その手をがぶりと噛むと「ふんっ。ねーねーなんて欲しくないど!」と階段をかけ降りて行った。
「いってー」とハルカが身もだえる。

あっけにとられていると
「どういうこと?」
「うん。お姉ちゃん欲しかったみたいだから、がっかりしたみたい。ごめんね、気にしないで仲良くしてあげて」とナギサが言って、下に行こうかと促した。