「ハナちゃん、なんか焦ってない? わかった。もしかして先生のこと好きなんでしょ?」
冗談でハルカが茶化すと、ハナは顔を真っ赤にして、俯いた。
さっきまで元気のいい女の子という印象だったので、急にしおらしくなったので、ハルカはドギマギする。
「ご……ごめん!」
「違うよ!」とだけ言うと、ハナはひとり奥へ逃げて行くので、二人は顔を見合わせた。
「いや、絶対、違くないよね」
「……ハルカ、そういうこと、あまり女の子に軽く言わないの」
「はーい」
ゆっくりハナの後を追いかけた。

庭は思ったより広く、明るい花が賑わいをみせている。
大きな木のテーブルと椅子が置いてあって、ここで客人がお喋りをするのだろう。
その奥にL字型の大きな古民家があった。赤瓦の屋根にはシーサーが飾られている。
そのまた奥に増築した民家が渡り廊下で繋がれていて、風呂場は離れになっているという。
ハナの通された部屋は、増築した民家の角部屋だった。