そこを右に曲がりしばらく歩くと、道の先にフクギの木のトンネルが見えた。
奥には何があるのだろう。木々の隙間から差し込む光がとても神秘的だった。

そこに着く手前で、「ここが家だよ」とハルカが教えた。
石垣に囲まれた白いコンクリートの家だった。
緑の芝も広がっていて、ハンモックまである。沖縄というよりアメリカの西海岸のような雰囲気で、とてもお洒落だなと感じた。
すぐ隣の石垣の前に立ち止まると、ナギサが
「ここが、うちの民宿てぃだだよ」
「うわぁ、綺麗」

門の上には、ピンクのブーゲンビリアが咲き乱れて、美しいアーチを作っていた。
まるでお伽噺のような雰囲気だ。
ヒンプンと呼ばれる家を隠すための壁には『民宿てぃだ』と木のプレートが下げられていて、そっとその文字をなぞった。
「先生の字だ」