このまま宿泊のお客さんを乗せていくので、一緒にと促されたのだけど、荷物だけ預けて、ハルカとナギサと歩いて向かうことにした。

暑い空気と、見たこともない南国の草花が目新しい。途中、茂みから牛が顔をぬっと出したので、驚いたりしたのだけど。

この島は、観光するところは少ないらしい。牛がいて、サトウキビ、塩を作っているとハルカが説明する。
「明日、この島を案内するから楽しみにしててね」とナギサが優しく誘った。
「え? いいの? やった。嬉しいな」
気さくな様子に、友達ができたようで、ハナは嬉しくなる。
お父さんがよく島の人達はみんなおおらかで優しいと言っていたのだけど、本当のことのようだ。

少し歩くと左手にレンタサイクルがあった。
ここも、知念のおじぃが営んでいるとナギサが言った。
『出かけてます。電話下さい』と札があり、無人だった。(いつもではないけど、たまにあるらしい)自転車は鍵もかけずに置いてあって、お金を払わなくても乗っていけそうな状況に、ちょっと驚いた。
島特有ののんびりした感じが伝わってくる。