高速船に乗り込むと、窓際の席を譲ってくれた。桟橋を離れると、ぐんぐんとスピードが上がっていき、波しぶきがたつ。
地平線を眺めていたら、青い海と空の境目がわからなくなった。

月島に向かう間、島をいくつか通り過ぎた。その都度、あの島は竹富島(タケトミジマ)っていうんだ、水牛に乗れるんだとか、月島には高校がないから、この船でナギサは学校に通っている、最近ふざけたサングラスを集めることが趣味で、ダンスが好きだとハルカのことを教えてくれた。

「あ、見えてきた」

隣に座っていたハルカが外を見ようと、身を乗り出すので、顔が近づいてドキリとした。
サングラスがずり落ちて鼻先で止まると、大きな綺麗な瞳があらわになる。
まだ幼さもあるせいか、中性的な可愛らしさがあった。

ナギサくんもだけど、ずいぶんかっこいい男の子が住んでるんだなと、ハナは感心する。