ヨウイチの家は現在、ダイビングショップと兼用している。
いずれ家を建てるまでの一人用の仮住まいを想定して造っていたので、とても狭い。
借家を借りようとしたところ、台風の影響で破損してしまい、取り壊すことにしたと言われた。

他のところも探してみたのだけど、とても古い家ばかりで年頃の娘を住まわすには無理があった。 アパートなんてものも、存在していない。

困っていると、名案が浮かんだ。
ヨウイチは結婚する前、石垣島のダイビングショップに勤めていた。
その頃の縁で、月島の知念一(チネンハジメ)というひとに出会い、とてもよくしてくれた。
結婚を期に東京に越したのだけど、それからも、縁は続いていてヨウイチの起業の際にも力を貸してくれた。
ヨウイチにとっては父のような頼もしさを感じさせてくれるひとだった。
知念のおじぃとヨウイチは呼んでいる。
そのひとは、民宿のオーナーをしていたので、そこに住まわせてもらえないかと考えた。
共同生活になるけれど、綺麗で住みやすいだろう。それを提案したら、ハナも「大丈夫だよ。下宿みたいで楽しそうだね」と、ひとつ返事で受け入れた。