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少しして民宿に戻って、寝る準備をすませた。どんな話をしたのか気にはなっていたのだけど、ヒバリが伝えてくれるのを待った。だけど、なかなかその話題を切り出さない。
布団を二つ並べて「おやすみ」と消灯した。
「今日、楽しかったな」とヒバリが言うので「うん。本当に。こんな一日になるなんて思わなかったよ」とハナが笑って寝返りを打ってヒバリを見る。彼女は天井を見上げたままだった。
「海、本当に綺麗だったな」
「うん」
海が綺麗とはしゃいで、砂浜の白さに感動してヒバリが砂を持ち帰るから、ハナもつい一緒になって砂やサンゴや貝殻を拾い集めてしまった。
今日あったことを振り返るように、ヒバリが多弁になるので、ハナはうんうんと相槌を打った。
「花火も楽しかった」
そう呟くと、ハナのほうに寝返りを打った。
「ハーちゃん、本当にありがとう。ハーちゃんのおかげでカイリくんと話、沢山できた」
「私のおかげじゃないよ。何もしてない」
「カイリくんがハーちゃんに連れ出されなかったら、話せなかったって言ってたから」
「そっか」
「あのね、ちょっとだけ、話聞いてくれる?」
「うん。もちろんだよ」