「カイリでもダメだよ」
いつになくハナがきつく言うので、ちょっと戸惑った。
すぐに玄関の扉が開くと、ミナトと手を繋いだナギサが戻って来た。
「あれ?」
「スイカ食べようと思って」
「スイカ、スイカ」と島ぞうりを脱ぎ捨てたミナトは先に向かう。どうやら空気を読んだナギサが二人きりにしてきたようだ。
自分のことではないのだけど、「ありがとう」とハナがお礼を言うと微笑む。
なんとなくもう大丈夫。わだかまりは溶けるだろう。そんな気がした。
ハルカだけが性懲りもなく「カイリ、なに話してんのかな」とカーテンの隙間から外を観察しようとして、「ダメだよ」と優しい口調とは反対に思い切り首根っこをナギサに掴まれ引き戻されていた。