「ねーねー。今日さ、花火しよーよ、花火」とハルカが言うと「する、する」とミナトが目を輝かせた。
ナギサも「いいね。ハナちゃんのお友達来てるし、せっかくだから誘ってみたら?」と優しく微笑む。ちらりとカイリの様子を伺ったけどなにも言わないので、「聞いてみるね」とだけ返事した。
カイリのことだ。きっと嫌なら来ないだろう。
戻ってからヒバリにそのことを伝えると、戸惑いながらも「行く」と言うので、支度してまた隣の家に戻った。
庭にはすでにナギサ達が花火をする準備をしていた。
門のほうまでミナトが駆け寄ると、「ハナの友達ば?」とヒバリを見上げる。「そうだよ。ヒーちゃんって言うの。仲良くしてね。あ、この子ミナト」と玄関の前にいたハルカとアサミも簡単に紹介した。
ミナトは「やるば」と言って、自分が持っていた花火を一本、ヒバリに差し出した。
「ありがとう」
ヒバリはミナトがみんなの輪に戻るのを見ながら、「カイリくんにちょっとだけ似てるね」と言った。思った通り、カイリの姿は見当たらなくて、これ以上ヒバリの悲しい顔を見なくてすんで良かったような複雑な気持ちになる。