「でも、もう少し話したかったな」
悲しく見えて、自分になにかできることはないかと考えた。
だけど、余計なおせっかいのような気もした。 カイリはそれを望んでないのかもしれない。
結局、なにも言えず黙るしかない。

「綺麗なビーチサンダルだね」
棚に飾っていた島ぞうりを見てヒバリが呟いた。
「うん。彫ってもらったんだ」
「彫ってもらったの? そういうお店があるの?」と訊ねるので首を横に振ってから「カイリが彫ってくれたんだ」
「……カイリくん」
呟いて、しばし眺めた。それから「こういうこと出来るんだね。私、本当になんにも知らなかったんだな」と寂し気に呟いた。
ハナはようやく自分にはなにもできないのだと諦めた。話なら聞くよと言ったのだけど、大丈夫とその話題にそれ以上は触れられなかった。

それから夕陽を見に裏のビーチに行って、夕食だけヒバリと別れた。いつものように知念のおじぃの家で食卓を囲むけど、先ほどのことが頭を過り、カイリの顔が見づらかった。