ハナはカイリがヒバリのことを覚えていたのだと安心した。
「ヒーちゃんとカイリ同じ学校だったんでしょ? 偶然だよね。ヒーちゃんがそっちの学校に転校する前、私と同じ学校だったんだよ」
同意を求めるようにヒバリを見ると、強張っている。
カイリも黙っているので、ヒバリが言うように覚えてないかもと感じるくらい話したことのない仲だったのかもしれない。

だけどすぐにヒバリが笑顔で
「久しぶりだね。元気だった? 突然、転校したからびっくりしてたよ」
「うん。前園も元気そうだな」
「元気、元気。カイリくん、昔より焼けしてるね」
「ああ、そうかも」
そこで会話が途切れると沈黙が落ちた。
じゃあとカイリが背中を向けると、ヒバリの身体がようやく緩んだ。
「やっぱり、カイリ覚えてたね」
うんと頷くと、どうしてかヒバリが泣きだしそうな瞳でハナを見た。
「ヒーちゃん?」
「どうしよう。ハーちゃん……」
「どうしたの? 大丈夫?」
そのままぎゅっとハナに抱き着くと
「実は、カイリくん初めて付き合ったひとなんだ」
「………」

東京にいた頃、少しだけ付き合ってた子がいると言っていた。それがヒバリだということに驚いて、なにも言えなかった。