「そういえばヒーちゃん、今日はどこに泊まるの? 石垣?」
「うん。石垣なんだけど……もうちょっとこの島にいたいな。ハーちゃんともっと話したいな」
残念そうに笑う。
「泊まってく? って、ここが地元だったら気軽に言えたのにな」
ハナの提案を聞いて「泊まっていいか、お願いしてみようかな」とヒバリはスマホを取り出す。
「本当に? じゃあ民宿、空いてるか聞いてみるよ」
「ありがとう。いいって言ってくれるといいな」
民宿に空きがなかったのだけど、ハナの部屋で寝るならということで、泊まれることになった。ヒバリの両親も戸惑っていたけど、結局、根負けした。明日の昼過ぎの便で石垣を発つから、朝一の船で帰る約束をして。
ヒバリは自分としては思い切ったことをしたと思っているけど、こんな風に願いは叶うものなのかと感じて、同時にとても感謝した。