ハーちゃんみたいになりたい。
イキイキして明るく、自分のペースで生きても尊重してもらえる。自分の為に動けるそんなひとになりたいと思っていた。
だけど、マネしてもマネしてもなれなかった。

あるとき学芸会の花咲か爺さんの劇を見て気づいた。
自分は悪いお爺さんと同じだ。
花を咲かす力なんてないのに、形だけマネすれば花を咲かせることができると思ってただけ。
だからもうハーちゃんみたいになるのは、諦めた。
なのに、まだこんな感情があるのかと呆れて、ばれないように押し込んだ。

「でもさ、なんて言うんだろ。ヒーちゃんと一緒だよ」
「私と一緒?」
「うん。だって、ヒーちゃんだって、私に何年も会ってなかったのに、会いに来てくれたんでしょ? 私にとっても先生はそういう存在なんだよ」

言われた意味がわかって、ヒバリは頷いた。
確かに、自分もハナも変わらないのかもしれない。
何年も疎遠だったけど、色んなたまたまが重なったタイミングでハナが引っ越したことを聞いたら、会いに行けと言われてるように感じて、思わず来てしまったのだから。

「そっか。そうだね」と、自然に笑みがこぼれた。
清々しさを感じて、さっきまでどこか緊張していた糸がぷつりと切れた。