しばらく話し込んでいると、扉が開く。入って来たのがソウメイだったので、ハナはすぐに「先生」 と手を振った。

「おや」とハナを見て、微笑んだ。
見慣れない子がいるなと気づくと、ハナが東京のときの友達と紹介する。
ヒバリは、ソウメイから静けさを感じて、会釈をすると黙ってしまった。
ソウメイはこの店で売っていた無農薬の野菜とお茶を購入すると、またと言って立ち去った。

「今のひと、ソウメイ先生だよね」
ヒバリはハナが昔、ソウメイに書道を教えてもらっていたことを覚えていたので、訊ねた。
「うん、そうだよ」
「オーラっていうのかな。すごいね。見たら、何も喋れないって思っちゃった。ハーちゃん、よく気軽に話せるね」
「だって先生だもん」
なんでもないことのように笑った。むしろ話していると喜びが溢れてくると思っている。
「でもなんでこの島にソウメイ先生もいるの? そういえば最近見なくなったとは思ってたけど」