「こんな島で会えるなんてすごいね」と、ナギサは穏やかに笑った。
ハナは家族旅行だというのに、ひとりでいるのが気になって 「ヒーちゃん、家族は?」と問いかけた。
「私だけ別行動にしてもらったの。みんなは竹富島に行ってる」
「そうなの? 良かったの? 一緒に回らなくて」
「うん。それよりハーちゃんに会いたかったから」
「ヒーちゃん」とハナは会えたことがとても嬉しかった。
「さすがハナちゃんの友達、行動力があるね」とナギサが笑った。
ヒバリはいよいよ黙っていられなくなって「あの……間違ってたら、ごめんなさい。もしかして、久住浬くんのお兄さんですよね?」
ナギサは急に旧姓で呼ばれて、驚いた。
「うん。そうだけど、カイリのこと知ってるの?」
「はい。同じクラスでした。あ、でも私が転入して少ししたらカイリくんが転校しちゃったから、私のことは覚えてないと思います」