初めて「組香」という言葉を聞いたときはその聞きなれない言葉に、何度か聞き返したものだった。

 組香とは、日本の文化を総動員して遊ぶ「お香遊び」のことだ。

 例えば、綺麗な景色を見たり、素敵な音楽を聞いたり、美しい物を見たりすると、人は何かで表現したいと思う。それを音とリズムで表せば、音楽になり、色と形で表すと絵画になり、言葉、文章で表すと小説になる。

 そして、その感動を香りで表現したいと思うと、『組香』になるという。

 組香はただ一人でするのではなく、十人程が一つの場に集まって円座になり、香元(招く側である主人)が順番に焚くいくつかの種類の香木を組み合わせ、客(招かれる側)が聞き分けて当てるというゲームだ。

 組香というゲームを通りして、香木の奥深い香りを心から楽しむ場でもあるという。

 以前、祖母から「組香」について説明を聞いたものの、私はまだ組香に参加したことはない。

 京都へ来て一年間は、この町になじむことと、お店のことを覚えるのに必死だったからだ。

 少し余裕が出来てきた今、私はもっと香りのことに詳しくなりたいと思い始めていた。