百華は走って教室に戻り友達にごめ〜んと謝って席についた
午後の授業中も百華は少しうわの空で先輩の事を考える
1度見ただけだった堤先輩……
一緒にいる友達が朝、先輩に会った時とかには話題にしてるから百華も話だけはうんうんと聞いていたが、実際には話しやすかった
3年生と話す機会もそうそうないし、友達も憧れというくくりで見ていたから百華もそこまで先輩の事を考えることはなかったが……
おかしいな
席についてから先輩の事ばっかり考えてしまう
友達に先輩に会ったことを話そうとも思った
……けど
何でだろう、話せなかった
これから学校内でもしかしたら会うかもしれない、でも、3年生なんてあまり関わりもないし会わないかもしれない
名前を教えたことを少し後悔した
友達といる時に“百華ちゃん ”なんて今日みたいに呼ばれたら……
色々考えながら家への道を歩いて帰っていた
駅前の小さな古いビル
1階が店舗で2階が祖父母の家、3階が百華の家になっている
ビルの階段を上り玄関を開けると朝、忘れていったお弁当が置かれてあった