階段を上がりながらパンがなくなったら午後の授業ヤバいなと思っていた



ハアハア……

4階……キツイ

でも一気に4階まで走りきった

階段を登りきったところで息を少し整え廊下を見る

昼休みなのにシーンと静まり返った廊下


さっき覗いていた窓にはまだ顔を外に出している男の人がいた

百華はゆっくり近づく


「あの……眼鏡を持ってきました」

イヤホンをしていたその人は百華に気づきイヤホンを外す

ニコッと笑って

「ありがとう」

と言った



この人見たことある……

誰だっけ……えーとえーと、そうだ

「堤(つつみ)先輩……」

百華は思わず声に出していた


「俺の事を知ってるの?」

「あっ、友達がよく話してて、見た事あるなって」

ニコッと笑っていた顔は少し険しい顔になった


あっ、見えないのか


百華は拾ってきた眼鏡を先輩の手をとり掌に置く

「どうぞ、見えないんですよね?」

堤先輩は眼鏡をかけて百華を見た

「制服が新しくてブカブカだ、1年生?」

「はい」

「ありがとう、助かったよ」

いいえと言葉にせずに手を軽く振った

「あの、眼鏡は割れてないですけどパッドのところのネジが緩んでてネジの頭の部分がないようなのでフロントが緩んでますが……」