「ちょ、ちょっと百華ちゃん」

「何ですか?」

「わかったからゆっくり歩いて……見えない」

「あっ!」

古いビルの階段は薄暗かった

さっき店に下りたときに電気を付けずに下りていたから慣れない先輩は確かに暗いだろう、ましてや、眼鏡もかけてない

「すみません……」

階段で1度止まった

眼鏡を外したばかりだ、視界がボヤけているだろう

「見えますか?」

「ん?見えないんだよね(笑)」

「裸眼でどれくらいですか?」

「0.1ないかな」

「0.1がどのくらいなのか私は目がいいのでわからないですが、視力検査の時に線より前に出るんですよね?」

「うわっ、恥ずかしいな(笑)そうだよ、でも最近は覗くタイプだからあんまりわからないんだよ」

「へぇ〜じゃあ、ゆっくり上がりましょう(笑)」

百華はそのまま手を繋いだまま3階に上がった

「どうぞ……あっ、ちょっと待っててください!」

百華は奧からバスタオルを出してきて玄関に敷いた

「靴下脱いでどうぞ上がってください」

「でも、ご迷惑だよ」

「気にしないで下さい、今日はおじいちゃんと2人なので」

先輩の肩にかけてあったリュックサックを百華はおろした