先輩は頭にタオルをかけて走って来ていた

百華の声に反応し頭をあげる

「百華ちゃん……ハァハァ」

入口の前で止まった

「?……どうぞ」

「いや、びしょ濡れだから店にはちょっと、ごめん……」

店の屋根には2mくらいのひさしが出ていて入口に立つと直接雨に当たることはないがやはりしぶきはある

「いえ、どうぞ?気にしないで下さい」


先輩は首を横に振った

「百華、奧からバスタオルを持っておいで」

「おじいちゃん……はい」

「堤くん、眼鏡を見るよ」

「あっ、はい、お願いします」

永遠はかけていた眼鏡を外して渡した


店の奥は階段があって、2階のおじいちゃんの家へ繋がってる

百華は急いでバスタオルを持ってきた

「どうぞ」

「ありがとう」

昼と同じ笑顔で笑ってくれた

「ゲリラ豪雨には参ったよ、学校出たところだったし、教室には折り畳み傘おいてあったんだけどな」

「先輩、制服乾かしましょう、風邪引きます」

「大丈夫だよ、タオル貸してくれただけで十分」


「駄目です!」

百華はそう言うと永遠の手を引っ張ってビルの階段を登っていた