本当は、最初は彼がいて、一緒にどこかへ出掛けて、美味しいごはんでも食べて、久しぶりに1日をのんびり過ごすことになっていた。
約束の前日。やっぱり忙しくて無理そうだと、彼から連絡が入った時は、なんとも言えない複雑な気持ちになった。
忙しいなら仕方がないし、別に出掛けるのだって明日じゃなくたっていいし、別の日に必ず埋め合わせすると言ってくれたのだから、その日を楽しみに待てばいい。
なのに心の中にいた別の私は、とてもがっかりしていた。
そんな私の気持ちを救おうとしているのか、もしかしたら、彼が頑張って早く仕事を終わらせてきてくれて、夜には会えるかもしれないよと、根拠のないストーリーを広げ始めた。
彼は来ない。
けれど、せっかく久しぶりに1日中休みなのだ。家に引きこもっているなんて勿体ない。