ハジメ、レン、カスガの三人は
階段を降りて 1階へ移った。
カスガは 初めて オフィスに来たので、アトリエ横のギャラリーや
工房を 先に見に行っている。
ハジメとレンの二人は、
そんなカスガを そのままに、
先にアトリエに入っていく。
レンが 視線をやると、
アトリエには、
幾つものイーゼルに立てられた
キャンバスが 並んでいた。
どれも、様々な色合いのブルーを
主体にした絵画。
風景、人物、生物、抽象、
デザイン、スケッチもあれば、
宗教画、星図などもある。
今度、夏辺りの展示会に
とりあえず集めてた絵画だろうか?
レンは そのブルーの絵画達を
スッと確認をして、ハジメが出してきた 送り状を受け取る。
この人は、本当に 自分で書かせるんだな…。
そう、目を細めてハジメを
見ながら、差し出された トレーの上に、左手から外した指輪を、
1度 掌に握って、顔の前に翳してから、ゆっくりと 置いた。
この人は、もしかしたら、
自分とシオンの間柄を知っているのかもしれないな。
改めて、周りを囲むブルーの絵画を見回す。
レンは、送り状にアドレスを書くため、スーツのポケットから細身紫の 万年筆を取り出す。
『天然の、ウルトラマリンか。』
重金属 なんか全く必要ない、
土に、砂、そして硫黄。
それを
『業火』で燃え上げて成る『青』。
送り状に、今住む 自分のプライベートアドレスを 音無く書き込む。
レンの目には、
どこまでも静謐なブルーの空間は、
まるで 摂氏約1000度超えの、
高温に燃え上がる 青い溶岩炎だ。
「送り状書けましたよ。プライベートアドレスなので、よろしくお願いしますね。」
トレーの上を、出した送り状がかすめる。
レンには 青い焔に煽られたように、
懐かしい練乳のような、乳香がする気がした。
「そろそろ、元の様にしたいと願っていたので、有難いです。」
レンは、ハジメに
何の外連味のない笑顔を見せた。
そんな 珍しく素直な笑顔を見せた
レンに、ハジメは 内心驚いた。
トレーに乗せられた 指輪を
見つめる。
ハジメは知っている。
というより、ハジメが 初めてレンに会った時に 提案をしたのだ。
この指輪は、ダミーだ。
『だって、Dirは、独身貴族。』
一面、紺碧の海。
そんな『青』の空間に佇む、
氷の貴公子は 結婚をしていない。そもそも する気がない。
初めて会った時、
『そうは、世間は見逃してもくれない』とか Dirが 言うもんだから、
その時 ディスプレイをしていた、
指輪を示して、
『コレでも付けたら、いい虫避けになるよん。』って戯けたんだよね~。
ハジメは、トレーのリングの横に『Dir』と付箋紙を貼る。
ヨーロッパの伝統的な
フィレンツェ彫りシルバーリング。
一見マリッジリングに 見える
ほどの、細い
フィレンツェ彫りなのは、
スタッフのシオン君が
彫金して仕上げ一品モノなんだけど・・・
まさか、本当に Dirが、
ダミーマリッジリングを
買い上げるなんてね~。汗汗。
ハジメは、送り状の確認をして、控えを ギャラリー紋様を型押した、封筒に入れる。
氷の貴公子のマリッジリングね~。
マジマジと、相手の顔を見ながら、
ハジメは、レンに
その封筒を手渡す。
青い空間の中で、
貴公子は 大切そうに、
それを直した。
ウルトラマリンは、
鉱物のケージに、
三硫化のマイナスイオンが
閉じ込められている色
なんだって、
科学者ので 読んだよ。
かごの中に 閉じ込められた
青い鳥が 色を、世界に贈るよう
なんだって。
まるで、Dirのような 青だよ。
その身の内に、どんな鳥を
閉じ込めているのやら。
そうだなぁ 私は、
まだ扉を開いて
嫁鳥を待っているんだよぉ。
「なるべく、早く 送れるようにするね~♪」
ハジメは、レンに訳知り顔の
笑顔を向けた。
と、そこに ようやく、
他の1階部屋を探索し終わった
であろう、カスガが 入ってくる。
レンの元へ、
ツカツカと歩いたカスガは、
その 足を 途中で 止めた。
次の瞬間、ハジメとレンは
『ガターンンン、、、』
という、
派手にモノが倒れる音がして、
驚く。
二人が 音が鳴り響いた先を、
見ると、
床に 倒れ落ちている、
木製のイーゼルと、
1枚のキャンバスを
後ろに 隠して 蒼白な顔をして
立っている、 カスガがいた。
階段を降りて 1階へ移った。
カスガは 初めて オフィスに来たので、アトリエ横のギャラリーや
工房を 先に見に行っている。
ハジメとレンの二人は、
そんなカスガを そのままに、
先にアトリエに入っていく。
レンが 視線をやると、
アトリエには、
幾つものイーゼルに立てられた
キャンバスが 並んでいた。
どれも、様々な色合いのブルーを
主体にした絵画。
風景、人物、生物、抽象、
デザイン、スケッチもあれば、
宗教画、星図などもある。
今度、夏辺りの展示会に
とりあえず集めてた絵画だろうか?
レンは そのブルーの絵画達を
スッと確認をして、ハジメが出してきた 送り状を受け取る。
この人は、本当に 自分で書かせるんだな…。
そう、目を細めてハジメを
見ながら、差し出された トレーの上に、左手から外した指輪を、
1度 掌に握って、顔の前に翳してから、ゆっくりと 置いた。
この人は、もしかしたら、
自分とシオンの間柄を知っているのかもしれないな。
改めて、周りを囲むブルーの絵画を見回す。
レンは、送り状にアドレスを書くため、スーツのポケットから細身紫の 万年筆を取り出す。
『天然の、ウルトラマリンか。』
重金属 なんか全く必要ない、
土に、砂、そして硫黄。
それを
『業火』で燃え上げて成る『青』。
送り状に、今住む 自分のプライベートアドレスを 音無く書き込む。
レンの目には、
どこまでも静謐なブルーの空間は、
まるで 摂氏約1000度超えの、
高温に燃え上がる 青い溶岩炎だ。
「送り状書けましたよ。プライベートアドレスなので、よろしくお願いしますね。」
トレーの上を、出した送り状がかすめる。
レンには 青い焔に煽られたように、
懐かしい練乳のような、乳香がする気がした。
「そろそろ、元の様にしたいと願っていたので、有難いです。」
レンは、ハジメに
何の外連味のない笑顔を見せた。
そんな 珍しく素直な笑顔を見せた
レンに、ハジメは 内心驚いた。
トレーに乗せられた 指輪を
見つめる。
ハジメは知っている。
というより、ハジメが 初めてレンに会った時に 提案をしたのだ。
この指輪は、ダミーだ。
『だって、Dirは、独身貴族。』
一面、紺碧の海。
そんな『青』の空間に佇む、
氷の貴公子は 結婚をしていない。そもそも する気がない。
初めて会った時、
『そうは、世間は見逃してもくれない』とか Dirが 言うもんだから、
その時 ディスプレイをしていた、
指輪を示して、
『コレでも付けたら、いい虫避けになるよん。』って戯けたんだよね~。
ハジメは、トレーのリングの横に『Dir』と付箋紙を貼る。
ヨーロッパの伝統的な
フィレンツェ彫りシルバーリング。
一見マリッジリングに 見える
ほどの、細い
フィレンツェ彫りなのは、
スタッフのシオン君が
彫金して仕上げ一品モノなんだけど・・・
まさか、本当に Dirが、
ダミーマリッジリングを
買い上げるなんてね~。汗汗。
ハジメは、送り状の確認をして、控えを ギャラリー紋様を型押した、封筒に入れる。
氷の貴公子のマリッジリングね~。
マジマジと、相手の顔を見ながら、
ハジメは、レンに
その封筒を手渡す。
青い空間の中で、
貴公子は 大切そうに、
それを直した。
ウルトラマリンは、
鉱物のケージに、
三硫化のマイナスイオンが
閉じ込められている色
なんだって、
科学者ので 読んだよ。
かごの中に 閉じ込められた
青い鳥が 色を、世界に贈るよう
なんだって。
まるで、Dirのような 青だよ。
その身の内に、どんな鳥を
閉じ込めているのやら。
そうだなぁ 私は、
まだ扉を開いて
嫁鳥を待っているんだよぉ。
「なるべく、早く 送れるようにするね~♪」
ハジメは、レンに訳知り顔の
笑顔を向けた。
と、そこに ようやく、
他の1階部屋を探索し終わった
であろう、カスガが 入ってくる。
レンの元へ、
ツカツカと歩いたカスガは、
その 足を 途中で 止めた。
次の瞬間、ハジメとレンは
『ガターンンン、、、』
という、
派手にモノが倒れる音がして、
驚く。
二人が 音が鳴り響いた先を、
見ると、
床に 倒れ落ちている、
木製のイーゼルと、
1枚のキャンバスを
後ろに 隠して 蒼白な顔をして
立っている、 カスガがいた。