そして、彼の一族は昔からこの家に仕えてきたとかでルミエールも産まれた時からもう私の従者になる事が決まっていたらしい。

ちなみに、私は今16歳。
ルミエールは18歳だそうだ。

今の自分の年齢もわからなかったので、一応ルミエールに確認してみたのだが、案の定この世界に絶望したと言わんばかりの、っていうか私に本当に呆れた様な顔をされ不快だった。

しかし、自分の年齢すら忘れてしまったなら多少以前より行動が不可解でも、仕方ないとは思ってもらえるようにはなったので結果的には良しとする。

「さぁ、今日は夕食までの間はみっちりとお勉強致しましょうね」

「えぇぇぇっ……」

学生の本分は勉強だとは言うが、残念ながら私は高校生でありながら勉強よりもバイトとオタ活に精を出していたので、こんなに必死に勉学に勤しんだのなんて受験の時以来だ。

その受験の時だって、ここまでのスケジュールはこなしていない。

何とか死にものぐるいでその日一日のノルマを終えると、倒れる様に自室のベッドに寝転がる。

私は夕食までの間、在りし日の高校生だった頃に思いを馳せた。

「本当なら、コミパ行ってコスプレして本買って……今頃部屋の中で戦利品に囲まれて……はぁっ……」

考えると虚しさしか込み上げて来ない。

「まっ、そのうち元に戻るっしょ!」

そして、そこは生来からの楽観的な性格の為、良くも悪くもお気楽に考えていた。

窓の外に視線を向けると、オレンジ色から段々と闇に飲まれていくのがわかる。

それを見て少しだけ安心した。

この世界は私の元いた世界とは大分色々違うけど、朝や夜の感覚はあり、陽は昇りまた沈む。
一日中空が明るいとか、太陽が三つあるとかそういう事は無いようだ。

ルミエールの地理の授業によれば、海もあれば山も森もあるようだし、生物の授業によれば鳥や魚みたいな普通の生物も生息していてホッとした。

ただし、天空に都市があったり、ペガサスや竜もいるらしいので、やはりココは残念ながら本やアニメにもよく登場する俗に言う異世界という場所なのだろう。

ベッドから起き上がり、窓から外を見てみると調度玄関の辺りに数台の馬車が止まるのが見えた。

車というモノはココにはないみたいだ。
恐らく私のいた世界の時代で例えるなら、中世とかそれくらいの感じなのだろうか?

馬車から誰かが降りたのが見えた。

すぐに周りを数人の従者らしき者達が取り囲んでいる。